全大発 15 通知 11

                                   2002年 10月11日

 

各単組委員長 殿

 

                             全国大学高専教職員組合

                              書記長 森田 和哉

 

 

文部科学省教育大学室長と教育系大学・学部の再編・統合問題で会見

 

 

 全大教は、10月7日、現在大きな問題となっている教員養成系大学・学部の再編・統

合問題で文部科学省と会見を行いました。会見出席者は次の通りです。

文部科学省:本間専門教育課教育大学室長、吉田教員養成係長、川西人事課審査第三係長

全大教:糟谷委員長、森田書記長、品川中央執行委員、

      前田(教育大学・学部の再編・統合に関する検討会委員)

 

会見内容

 

 はじめに、全大教から森田書記長が8月30日付けで文部科学大臣あてに提出した「教

員養成系大学・学部の再編・統合に関する要望書」(別紙)に基づき、要請趣旨の概

要を説明した。

 これを受けて、本間室長より以下のような説明があった。

 

本間室長:今なぜ教員養成大学・学部の再編・統合が言われているのかについては、

みなさんもよくご存じの通りだ。

要望書に「文部科学省による強権的再編・統合」云々とあるが、文科省としてはその

ようなことはまったく無い。それぞれの教員養成系大学・学部が今の状況でよいのか

考えてほしいというのが、「在り方懇」の言っていることであって、そうした過程

で、一県で改革が無理だというときに、隣県と一緒になったほうがよいというのであ

れば、そのようにすればよいといっているだけだ。私どもの方から「どことどこが再

編・統合を」などと言ったことはないし、言うつもりもない。

附属学校の統廃合は申し上げていない。教員養成担当でなくなるから、附属学校が無

くなるということではない。附属学校にはその役割がある。教員養成系であれば、教

育実習や研究協力という役割があり、教員養成系でなくとも、東大、お茶の水女子

大、東京工業大、東京芸術大の附属など、全国で29校ある。大学の教育、研究上、付

属学校が必要不可欠であるという整理をしてほしい。

「研究協力校としての附属学校の存続」という問題は、全くその通りで、むしろ今ま

でが研究協力校としての役割が不十分なため「国立大学の附属学校は必要なのか?」

などとの批判を招いているのではないか。個々の教員の研究への協力と言うだけでな

く、システムとしての研究協力体制の構築が必要ではないか。

いずれにしろ、今後21世紀のあるべき教員養成学部はどのようなものか、それをどう

発展させるのかという観点で、教員養成大学・学部の再編をすすめるもので、文科省

からあれこれと指図するものではない。

 

 以上の本間室長からの説明を受け、次に、一問一答形式での質疑応答を行った。

 

全大教:今、全国で教員養成大学・学部の再編・統合問題に関して、学生数300人、教

員数130人と言う数字をどうやって確保するかということでみんな頭を痛めていると聞

いている。これらの数字はどこから出てきたもので、厳格に決まったものなのか?

また、再編・統合を進めるに当たって、副大臣は期限をつけずに地元とよく話し合っ

て、地元の理解を得られるように進めるべきだなどと発言しているが、地元の理解が

得られる形で決着すればこうした数字にこだわらなくてもいいのか?

 

本間室長:学生数300人、教員数130人等という数字は、私どもはそのようなことは一

切言ってない。

在り方懇のとき、教員養成系の定員が一番おおきいときのものを大学数で割った数字

を示した。ある新聞が、文部省はこう考えていると記事に書いた数字である。根拠は

ない。

私どもとしては、そうした「ます数字がありき」等という数あわせをするつもりはな

い。そうではなく、しっかりとした教員を養成するためのカリキュラムから出発し

て、それから学生数や、教員数と言った数字が積み上がってくるものと考えている。

例えば、隣接する2県の教員養成をどうするかというときに、どうすればパワーアップ

できるかというのが問題となる。パワーアップ策として、こうしたとりくみをすると

いうことを聞かせてもらっている。地元と大学との間でも、ゆっくり時間をかけて話

をしてほしい。どちらになるにしても。そして、それを聞かせてほしい。国会に私ど

もで説明をしないといけないが、こういうパワーアップができることになったので、

国民の税金を出して欲しいと説明できるようにする必要がある。

 

全大教:「どちらになるにしても」ということは、地元との話し合いの結果がどちら

になっても、それを認めるということか?

 

本間室長:そうではない。とにかく、まず地元との話し合いの結果を聞かせてもらっ

て、その上でさらに協議をしていこうということだ。

 

全大教:今後の教員の需給予測に関してはどう考えているのか?

 

本間室長:国全体として1万人体制(9,750人)というのは堅持する。一部にこれを半減

するなどと理解している向きがあるが、1万人、9,750人、は崩さない。

 

全大教:国としての需給関係と、地域の需給関係はまた違いうると思うが、どうか?

 

本間室長:もちろん地域の実情に合っていなければ問題だろう。教員採用がほとんど

ない地域で100人も200人も増やすというわけには行かない。

 

全大教:全国的に30人学級などの少人数制を導入する動きが広がっているが、こうし

た動きを教員の需要の観点でどう見ているのか?

 

本間室長:国立学校では、40人体制で今のところ変更はない。公立学校で30人制と言

っても、全面的なのか部分的なのかわからない。いずれにしてもこの問題は初等中等

局の管轄事項なので、私の方からどうこういえる問題ではない。

 

全大教:「在り方懇報告」で頻繁にパワーアップと言っているが、このパワーアップ

の言葉の理解が一致してないようだが、どう理解すればよいのか?

 

本間室長:それは、「在り方懇報告」にある現状分析における問題点の裏返しと考え

ている。たとえば、「在り方懇報告」でも触れているが、学生募集人員でも、前期、

後期、推薦などと小分けにすると一つの科で1人や2人の募集しかないなどの問題と

か、科目ごとの規模が小さくて、体育で野球やサッカーなどをするのもチームが作れ

ないという問題もある。一定規模の学生数の中で学生同士の切磋琢磨も必要ではないか?

 

全大教:いま、すすめていられているのは「在り方懇報告」A案にそっているが、それ

には、「all or nothing」の姿勢しか見られないが、どう考えるか?

 

本間室長:いずれにしても、まず、再編・統合ありきとは考えていない。地域の実態

に即しながら地域とよく話し合ってすすめてもらいたい。

 

全大教:結果として一県一教員養成大学・学部が残ると言うこともあり得るのか?

 

本間室長:本当に学生のためになるのか、いい教員養成ができるのかという立場で考

えてほしい。

例えば、今でも、地元の大学から教員になる割合は低いし、大学は県外にいわば武者

修行に出る方が視野が広まっていいと言う意見もある。県内出身者同士で固めると視

野が狭まるという意見も聞く。

 

全大教:文科省も大学の法人化と教員養成大学・学部の再編統合は別だと言っている

が、早ければ2004年4月と言われる大学法人化とは別の問題としてすすめると考えてい

るのか?

 

本間室長:法人化は一斉にスタートするが、再編・統合はひとつひとつの大学が充実

のために考えることであり、法人化までにということではない。時間がかかるところ

は時間をかけてやる。法人化後は法人の判断としておこなうことになる。しかし、い

つでもよいのかというと、国民の税金を使うので、充実に資することは早い方がよい。 

 

全大教:法人化後の再編統合を考えた場合、その手続きは、今なら、概算要求と言う

ことだが、どうなるのか?

 

本間室長:それは法人の認可や業務内容の認可といったところで行うと言うことだろ

うが、まだ検討中だ。

 

全大教:現行法の下では地方自治体から教員給与を支払うのは無理だろうが、法人化

後は可能になるのか?

 

本間室長:地方財政法が改正されなければ、法人化後も無理だが、個人的には、そう

いった改正は難しいと思う。

 最後に、今後とも節目に応じて会うことを約して会見を終えました。

 

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                                  2002年8月30日

 

文部科学大臣

   遠山 敦子 殿

 

 

                    全国大学高専教職員組合(登録職員団体)

                        中央執行委員長 糟 谷 憲 一

 

 

   教員養成系大学・学部の再編・統合問題に関する要望書

 

 

このことについて、貴省は、昨年11月22日の「国立の教員養成系大学・学部の在り方

に関する懇談会」において、最終報告書「今後の国立の教員養成系大学・学部の在り

方について―国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会報告書―」を公表

しました。

このことをふまえ、私たちとして、昨年12月に要望書を提出しましたが、貴省の「懇

談会報告書」は、今後の教員養成系大学・学部の在り方、さらには国立大学の在り方

に重大な禍根をもたらすものであり、次の理由から「懇談会報告書」に基づく再編・

統合について改めて反対の立場を表明するものです。

第一に、本「報告書」は、文部科学省が長年にわたって推進してきた「教員の目的的

計画養成」政策が実質的に破綻したことを反省し、戦後の教員養成に関する二大原

則、すなわち「大学における教員養成」「開放制」の原則に立ち返ろうとはせず、従

来通りの「目的的計画養成」政策の枠内においていっそう閉鎖的な教員養成システム

を構築しようとしています。

第二に、本「報告書」の内容は、「1県1教員養成系大学・学部」の原則を放棄し、

歴史的に醸成されてきた大学と地域との重要かつ密接な教育的・文化的連携を学術的

観点も実証的検討もほとんどなしに切り崩そうとしています。また、それは、現在重

大な局面を迎えている国立大学の再編・統合の動きに強権的手法により拍車をかけよ

うとするものです。さらに、附属学校については、大学と附属学校が多様な連携形態

を探求して、研究協力や教育実習のいっそうの充実をめざすとともに、そのための条

件整備がはかられるべきであるにもかかわらず、本「報告書」は「まず再編・統合あ

りき」の態度をとっており、あるべき方向に逆行していると言わざるを得ません。

第三に、本「報告書」は、40人学級の維持を前提としており、また、現職教員の研修

についても、教員養成系大学・学部の統合により、逆に条件が制限されることにつな

がることが明白であるなど、初等・中等教育現場で抱えている現在の問題解決に資す

るものではありません。

現にその後、市民、行政、政界、産業界等、県・地域をあげて「教員養成系大学・学

部の存続、充実を」の声は大きく広がりつつあります。そのことを十分認識し、貴省

は、教員養成系大学・学部の再編・統合政策について、抜本的見直しを行うべきです。

私たちは、この間の教員養成系大学・学部をとりまく状況をふまえ、下記事項につい

て改めて強く要望する次第です。

 

                       

                         記

 

 

一、 教員養成系大学・学部について、「1県1教員養成系大学・学部」の原則及

び大学における「教員養成の開放制」原則に反する強権的な再編・統合を行なわない

こと。

また、附属学校についても、拙速な統廃合ではなく、大学と附属学校が多様な連携を

行ない、研究協力や教育実習のいっそうの充実がはかられるよう条件整備をはかること。

 

二、 大学における教員養成及び地域社会における教育・福祉事業等に携わる「広

義の教育者養成」等、将来の地域社会をになう人材育成と教育・文化への寄与を不可

欠のものとして、それらを大学の機能として位置づける立場から、教員養成系大学・

学部の充実をはかること。

 

 

 

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