山梨大学教職員組合のみなさまへ

 今年度の執行部の所信表明として以下のようなことを書きました。

「新世紀の組合にふさわしいコミュニケーション・システムとして新執行部が考えるのは、具体的にはメール配信や組合HPの立ち上げです。どちらも今や何ら目新しいものではありませんが、組合にとっては極めて有効な存在と行動の手段になりうると思います。これをうまく利用すれば、情報発信・配信の機能化(組合ニュースのメール配信、双方向性による申し込みやアンケート調査、組合発信情報のデータベース化など)に留まらず、組合員相互の恒常的なオンライン交流(常時書き込み可能なオンライン「ともがき」?)による情報の共有・交換なども可能になります。同じキャンパスに生息する多様な立場の200近い個体を擁するのが我らが組合です。大学の情報システムとは異なるオルターナティヴな情報交換システムをもってもよいのではないでしょうか。「不安」も個別的にとらえれば状況に対する情的対応にすぎませんが、それを多くが共有すれば一つの思想になります。さらに、オンライン交流により、ともすれば低調になりがちなオフラインの(本来の)交流も活性化するかもしれません。」

 というわけで、「新コミュニケーション・システム」というのはやや大げさですが、組合ニュースの第1号をメール配信でお送りします。当分はペーパーと両方で続けますが、そのうちに皆さんの希望などを調べて、1本化できるところは1本化したいと思っています。ご意見・ご希望がありましたら、どしどしお寄せください。


はじめに
 遅くなりましたが、新執行部による組合ニュースの第1号をお届けします。委員長をはじめズブの素人で、すべてはゼロからの出発と相成りました。にわか勉強をしているうちに山梨大学教職組が置かれている状況の厳しさを感じると同時に、学園に残るエネルギーを集結できる「もう一つ別の(alternative)」場として何とかして残す必要性を強く感じております。
 私が組合に居続けた理由は(目に見える形でのメリットがなく、三役にでもさせられたら大変だという不安があったにもかかわらず)、まず第一に一種の保険としてでした。先に何かあったら、何か理不尽な状況がいつかおきたならば。実に漠然とした不安ですが、この不安の一部が今ならばグローバリゼーションの行き過ぎという形で可視的になっていると思います。例えば、サービス化、情報化をすすめる今日の資本主義世界は労働力を以前ほど必要としなくなっていますが、生じた失業者をいかに管理するかという問題が生じています。失業者対策に社会保障を使わないアメリカは警察や刑務所に頼ることになりますが、一方、フランスは非効率を唱える経営側の猛烈な反対にもかかわらず、労働時間の短縮によりパイを分け合うという方策をとりました。このようなカウンターバランスは我らがキャンパスにおいてもやはり必要なのではないか、と極めて漠然と思っていたわけです。
 もう一つの理由は大学のタテとかヨコに割られた社会と異なる位相での超学部的、超職掌的な縦断的人間関係が組合では可能だということです。無礼講とまではいきませんが、公に決められた枠からはずれたある種の自由さが組合にはあります。ずっと以前の組合委員長は組合内ぐらいは「〜先生」と呼ぶのは止めましょうと提案しました。必ずしも守られませんでしたが、これも組合が同じキャンパスにありながら、 alternative な世界を作りうると考えられるからです。
 ところで、組合の必要性は実はもう少し具体的な形であらわれようとしています。国立大学の法人化問題です。法人化された場合、人事院勧告などによって(ある意味では)まもられていた教職員の労働条件は各組織レベルでの交渉の対象になります。組合は文字通り労働組合として飛躍的に重要な役割を担わなければなります。
 その際、教職員の過半数の代表であることが重要な意味をもちます。したがって、組合は存続するだけでなく、法人化に向けてその存在感を増してゆく必要があることになります。どのようにして?このあたりが皆さまのお知恵を借りたいところですが、とりあえず執行部としては、
1)alternative でわかりやすい情報センターとしての充実
2)「役に立つ組合」の顕在化
3)組合費の値下げ
を考えています。1)は2)の手段でもありますが、以下では1)を踏まえながら、「構造改革」旋風の中におかれた我が大学と我が組合の位置確認を行いつつ、新執行部スタートアップのあいさつに代えたいと思います。

山梨大学と山梨大学教職員組合
 日本の国立大学は大きな転換期にあります。
1)国立大学法人への移行
2)統合問題
3)教員養成課程の再編・統合問題
 いずれも日本の大学がおかれた環境全体の変化をあらわしていると同時に、2)と3)は特に山梨大学にとって個別的に切実な問題です。いずれもトップダウンによる急激な動きであり、いつの間にか既成事実化しているという共通点をもちます。蚊帳の外におかれた当事者大学人の横で、透明を装う審議会なるものが次々と託宣をならべ、当事者たちはそれをなすすべもない無力感で茫然と聞き入る、という風景が珍しいものではなくなりました。背に腹は代えられないという思いが跋扈していますが、この思いがしたたかな計算からなのか、あるいは根拠ない(ある?)諦念からなのか、この辺りが私などにはわかりにくいところです。
 2)の山梨医大との統合化では名誉ある(?)全国第1号になることがほぼ決まっており、個別的・部分的な批判・不満はともかく正面からの反対の声を聞くことはほとんどありません。この点、反対方針の全大教と我が大学の環境温度とは必ずしも同じではありません。組合としても統合後のことを具体的に考える時期にきています。
 3)の教員養成課程の再編・統合問題は、少しずつ準備されてきたということが遡行的にはわかっても、やはり寝耳に水の思いをもったのは私だけでしょうか。情報が情報としてこちらの耳に届くまでにすでにタイム・ラグがありますが、情報がリアリティを持ち始めるのはさらに遅く、それこそ新聞記事ではじめて知ったということが自分の大学についてさえ増えています。
 いずれも重要かつ切実な問題です。それぞれの問題に対して組合としての見解を出す自信は正直言ってありませんが、複数の人の協力を仰ぎ、知恵と情報を出し合ってもらい、alternative な情報発信基地としての役割を示すことができればと考えています。乞うご期待。

 1)の法人化についてだけ、組合との絡みでもう少し書かせていただきます。
 法人化については学内においても意見が分かれそうですが、やはりなるんだろうな、というのが大方の思いなのではないでしょうか。いずれにしろ、たとえ反対の立場にあっても、今や法人化された場合の対策は組合として考えざるを得ません。
 法人化された場合、大学は当事者能力を増すことになります。組合も今までの「職員団体」ではなく「労働組合」として労働協約締結権を得ることになります。つまり、労使関係が大幅に変わることになるわけです。人事院勧告制度に代表される勤務条件法定主義の傘がなくなり、組合は大幅な裁量権限を得た大学当局と労働条件について具体的に交渉することになりますから、組合の政策・交渉能力が問われるほか、組織力も一層求められるようになります。
 法人化された場合、就業規則の作成・変更、労働時間の変形・弾力化などの勤務条件決定には労働基準法が適用され、教職員の過半数を組織する労働組合または教職員の過半数を代表する者との労使協定が必要になります。逆に過半数を代表する組合がなければ、就業規則などは当局が一方的に決めることが可能となります(以下のHP参照:http://zendaikyo.or.jp/dokuhouka/zendaikyo/0109houjinkaQ%26A/NO4.pdf)。
 この場合、教授会による決定権をもつ教員は「当局」サイドに立つのでしょうか?それは法人化後の教授会がどの程度決定権を維持できるかに拠ると思われます。法人化の目的の一つがトップダウン式の効率よい決定システムの構築にあるとすれば、教員はそれだけ決定システムからはずされますから、決定システム(当局)と交渉せざるをえない立場に置かれるのではないでしょうか。
 とはいえ、法人化後、労働条件改善のための交渉母体をより一層必要とするのは事務系職員かもしれません。この点、現在の山梨大学教職組は事務系職員の組織率が極めて低いわけで、人事院勧告の傘をはずされた場合には、現場の声が届かずに組織として十分な機動性を持ち得ない可能性もあります。
 山梨大学教職組として、法人化を想定した組織力の増大は最重要の課題と考えています。そのためには「はじめに」でも挙げました、
○組合費の値下げ:組合員増にしたがい組合費が安くなるシステムの構築、組合費上限の値下げ、経費削減など
○役に立つ組合の顕在化:真に役立つ情報提供、多彩な文化・親睦活動
などをこれからは考えてゆく必要があるでしょう。
 なお、労働条件改善としては今までも全大教を中心として昇級問題などを地道に扱ってきており、人事院折衝や文科省折衝などを通 じて一定の成果をあげていることは認識しておきたいと思います。自分には直接「役にたたない」、あるいははっきりとは「目に見えてこない」成果 についてもある程度アンテナを伸ばしうる能力、グローバリゼーションに欠けるこうした「思いやり」なくして組合に意味があるとは思えません。(文責:森田)

関連サイト

全国大学高専教職員組合(全大教)
文部科学省

国立大学協会(国大協)

法人化関連HP
新しい『国立大学法人』像について(中間報告)
「新しい『国立大学法人』像について(中間報告)」に関する意見書
全大教
国大協
日本科学者会議大学問題委員会